春
今日はいつもに増して、多くの客が来る。皆、明日の打ち上げで宇宙に行くという。
今の客は、五人目の客で、故郷に幼なじみの彼女を置いてきたという。
「少し、後ろめたいですね、わたし」
と言い、ハルは紅茶を相手のカップに注いだ。男は緊張しているようなので、ハルは気を遣う。
「彼女を守るために、行くんですね」
「……うん。そう思って、来たんだ」
「なら、いいですよね。わたし、あなたが戦いに行ける、何かの役に立つと思いますから。
明日から宇宙ですよね。いいな、わたしも宇宙に行きたいんです」
「そうなの?」
「はい。広くて、静かなところって聞くんです。なぜか……憧れるんです」
男は紅茶を飲み終えていた。
ハルはにっこりと笑顔になり、言う。
「シャワーをどうぞ。カップを片づけてから、わたしも行きますので」
男は多少の経験があるようで、割と落ち着いたまま抱いてくれた。力任せで乱暴にされるよりは、
こういう方が良かった。
ハルは客の男以外に抱かれたことはない。気持ちよいと感じたこともない。体は男を受け入れる
ように反応するが、肝心の気持ちが、完全に何も感じない。しかし、充足感はあった。
ああ、この人は今、満たされているのかな――そう思うと、ハルはこの仕事が苦痛でなくなる。
ハルが微かに上げる嬌声はサービスだ。最近はそれも上手になった自分に、ハルは男に気付
かれずに苦笑することがある。
「ね、ねぇえ……」
「ん……」
「あなた、パイロット?」
ハルは男の背中を抱きながら、耳元でそう聞いた。
「そ、そうだけど……」
「いいな……」ハルは微笑む。
