「二人の秘密」

 

第2話 -承-(東雲順彦 編)

 

「天然記念物だよ」
「天然記念物……何それ」
「見りゃわかるさ」
 損はさせないぜ。と勇は不敵ぶった笑みをよこす。
「これが成功したあかつきには俺らは一躍有名人よ。こんなに凄いのを拝見できるのは

ここらじゃあり得ないんだぜ。いや、ちがう。此処しかない」
 こりゃ、世紀の大発見だー。みたく言わんばかりの勇の口ぶり。
「そんなに凄いんだ……」
「おお。ハイリスクだがリターンも極上よ」
  リターンはいいけどハイリスクがな……。
「これではれて仲間入りだな俺たち」
「なんの仲間入りだよ……」
 勇の言うそれは無事達成できたときのこと。俺が思ってるのはそれ以外だったときのこと。
 俺が思ってることになったらそれもある意味、はれて仲間入りだ。そちらは絶対に嫌だ。
「おおっ」
「なになに、何が起きてるの」
「ま、まて。お楽しみはこれからだ」
 極まってきた感情をこらえた感じで言う。
 そのあと微かに、素早い音がした。
「き、きた」
 な、何が。天然記念物が。こっちに来るの。
「に、逃げたほうがいいんじゃないの」
「逃げてどうする。見に来たんだろうが。……こっそりと」
「だって、危ないんじゃない。こっち来てるんでしょ」
「きたってそう言うことじゃぁない」
 ああもうっこれだから……。っていいながら――
「今いい感じだから見てみろ」
 ほら、早くしろと勇は俺から降りて今度は俺が勇の上に乗るように言う。
「うん、でも良いの」
「俺らは一心同体だろ。いいから見ろ。あ、すぐに頭を上げるなよ。そぉーっとだ、そぉーっと」
 勇の肩を借り言われたとおりそぉーっと覗く。
「あ……」
 勇が見ていたのが何となく解ってしまった。視界に入る木が邪魔な感じだが、その奥に

 カーテンの開け放された出窓がある。ここからだとはすななめ前。その中にベットから

 半身起こして座っている人がいた。窓から差し込む月明かりに照らされてとてもきれいだ。
「どうだ、感想は。すごいだろう」
 今時いないぜ。まさに天然記念物なみだよな。
「うん……」
 上の空のような返事に、
「おいおい見るとこ解ってるのか、出窓のとこだぞ、いるの解るか」
 ……解ってるって勇に言いたいけど、それよりも――目を離せずにいた。
「うん。……こっち見てるから」
「――ええっ」

                                                転へ続く